犬がおしっこしない原因と対処法!病気やストレスのサインを見逃さない

犬の排尿に関する悩みは、飼い主にとって非常に気になる問題です。
トイレには行くものの、おしっこが出ない、あるいは量が極端に少ないといった様子が見られると、愛犬の健康状態を心配されることでしょう。
そこで今回は、犬がおしっこをしない原因として考えられる病気やその他の要因、そして飼い主さんが取るべき対処法について解説します。
犬の健康状態を把握する上で、排尿の状態は非常に重要な指標となります。
普段から愛犬のおしっこの回数、量、色、匂いなどを注意深く観察し、異変にいち早く気づくことが、病気の早期発見・早期治療につながります。

◻︎犬がおしっこしない原因

犬がおしっこをしない、または排尿量が著しく減少する原因は、様々です。
その中でも、病気が原因となっているケースは少なくありません。
緊急性の高い状態である可能性も十分に考えられるため、原因を特定し、適切な対処を行うことが愛犬の命を守ることにつながります。

*病気によるもの

尿路結石症、膀胱炎、前立腺肥大、慢性腎臓病などが、犬がおしっこをしない原因として挙げられます。
これらの病気は、排尿のメカニズムに直接的な影響を与え、症状を引き起こします。

尿路結石症は、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道に結石ができる病気です。
結石が尿路を塞いでしまうと、おしっこが全く出なくなることがあります。
血尿や頻尿、排尿時の痛みなどの症状が見られることもあります。
特に、結石が尿道に詰まってしまうと、尿が体内に溜まり、急激な苦痛を伴うため、一刻も早い処置が必要です。
結石の大きさや位置によっては、手術が必要となる場合もあります。

膀胱炎も、膀胱に炎症が起こる病気で、頻尿や血尿といった症状を引き起こします。
残尿感から何度もトイレに行こうとするものの、実際にはおしっこがあまり出ないという状況になることがあります。
これは、膀胱の粘膜が炎症を起こし、刺激を受けているために生じます。
細菌感染が原因となることが多いですが、ストラバイト結石などの結石が原因で膀胱炎を起こすこともあります。

前立腺肥大は、去勢手術をしていない中高齢のオス犬によく見られる病気です。
男性ホルモンの影響で前立腺が大きくなり、尿道や腸を圧迫し、排尿が困難になることがあります。
排便困難を伴うこともあります。
進行すると、前立腺炎や膿瘍を引き起こすこともあり、発熱や元気消失といった全身症状を伴うこともあります。

慢性腎臓病は、高齢犬に多く見られ、腎臓の機能が徐々に低下していきます。
腎臓は体内の老廃物を尿として排出する重要な役割を担っていますが、その機能が低下すると、十分な尿を作れなくなり、体内に毒素が蓄積する尿毒症を引き起こす危険性もあります。
初期段階では症状がほとんど現れないため、定期的な健康診断が重要です。
進行すると、食欲不振、嘔吐、貧血などの症状が現れます。

*その他の要因

病気以外にも、環境の変化やストレス、あるいは脱水などが排尿に影響を与えることがあります。
例えば、引っ越しや新しいペットの加入、家族構成の変化といった環境の変化は、犬に大きなストレスを与え、排尿行動に影響することがあります。
また、暑い時期や激しい運動の後など、体内の水分が不足することで尿の量が減ることもあります。

しかし、これらの要因が疑われる場合でも、根本的な原因が病気である可能性も考慮し、注意深く観察することが重要です。
脱水が続くと、腎臓に負担がかかり、病気を引き起こすリスクも高まります。
特に、子犬や老犬、持病のある犬は脱水になりやすいため、注意が必要です。

◻︎犬がおしっこしない対処法

愛犬がおしっこをしない、または排尿に異常が見られる場合、飼い主さんができることと、専門家への相談が不可欠です。
自己判断で対処することは、病状を悪化させる可能性もあるため、必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。

*病院受診の目安

愛犬が丸一日おしっこをしていない、あるいは排尿量が極端に少ない場合は、速やかに動物病院を受診してください。
これは、尿路が完全に閉塞している可能性があり、非常に危険な状態です。
特に、何度もトイレに行くのに出ない、血尿が見られる、おしっこに結石のようなものが混じっている、元気がない、食欲がないといった症状が見られる場合は、病気の可能性が高いため、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。

尿路が閉塞した状態が続くと、腎臓に負担がかかり、急性腎障害を引き起こし、命に関わる尿毒症に至る危険性もあります。
数時間でも排尿がない場合は、緊急性が高いと判断し、すぐに動物病院へ連絡しましょう。
獣医師は、問診、触診、尿検査、血液検査、画像検査(レントゲン、超音波など)を行い、正確な診断を下します。

*家庭でのケア

自宅でできることとしては、まず動物病院を受診することが最優先です。
獣医師の指示に従い、適切な治療やケアを行ってください。
自己判断で様子を見たり、民間療法を試したりすることは、病状を悪化させる可能性があるため避けるべきです。

病気の予防という観点では、日頃からのケアが大切です。
尿路結石症や膀胱炎の予防には、こまめにトイレに連れて行く、トイレを清潔に保つ、十分な水分を摂取させる、バランスの取れた食事を与えるなどが挙げられます。
新鮮な水をいつでも飲めるように複数箇所に設置したり、ウェットフードを取り入れたりすることで、水分摂取量を増やすことができます。

また、食事は尿のpHバランスを整えるような療法食が推奨される場合もありますので、獣医師に相談しましょう。
オス犬の前立腺肥大の予防には、去勢手術が有効な場合があります。
去勢手術は、前立腺肥大のリスクを低減するだけでなく、精巣腫瘍や肛門周囲腺腫の予防にもつながることが知られています。

愛犬のおしっこの回数や量、色、匂いなどを日頃から観察し、些細な変化も見逃さないようにすることで、病気の早期発見・早期治療につながります。
排尿の様子がおかしいと感じたら、すぐに獣医師に相談することが、愛犬の健康を守る上で非常に重要です。
日頃からのスキンシップの中で、愛犬の体の変化に気づくことも大切です。

□まとめ

犬がおしっこをしない、あるいは排尿量が減少する症状は、尿路結石症や膀胱炎、前立腺肥大、慢性腎臓病といった病気が原因となっていることが少なくありません。
これらの病気は、放置すると重篤な状態に陥る可能性があるため、愛犬の排尿に異常が見られた場合は、速やかに動物病院を受診することが重要です。

特に、排尿が全く見られない、血尿がある、元気がないといった症状がある場合は、緊急性が高いと判断し、すぐに獣医師の診察を受けましょう。
日頃から愛犬のおしっこの状態を注意深く観察し、些細な変化も見逃さないようにすることで、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。

また、適切な水分摂取や清潔なトイレ環境の維持、バランスの取れた食事、必要に応じた去勢手術といった日常的なケアも、排尿トラブルの予防につながります。
愛犬の健康を守るために、飼い主さんは常に注意を払い、異常を感じたら迷わず専門家へ相談することが大切です。