金魚が卵を産んだ際の対応について解説します。
□金魚の産卵後の初期対応
*親と卵の隔離方法
金魚が産卵を終えたら、親魚による卵の捕食を防ぐため、速やかに親魚と卵を隔離することが極めて重要です。
卵は非常に繊細であるため、スポイトなどを活用し、優しく吸い上げて別の水槽へ移動させてください。
親魚を移動させる場合、産卵によって白く濁った水はバクテリアやカビが繁殖しやすい環境となるため、卵を移動させた後に元の水槽の水換えを行うことが推奨されます。
また、親魚同士も、メスは産卵による疲労やオスに追いかけられることで弱っている場合があるため、オスとメスを別々の水槽に分けることが望ましいです。
*有精卵と無精卵の見分け方
卵を隔離した後は、有精卵と無精卵を選別する作業に移ります。
この作業は、無精卵が腐敗してカビが発生し、水質を悪化させるのを未然に防ぐために不可欠です。
有精卵は数日経過すると、内部に稚魚の目となる黒い点が確認できるようになります。
対照的に、無精卵は白く濁ったままの状態が持続します。
この明確な違いを見分けることで、ふ化の可能性を秘めた卵のみを残すことが可能となります。
□金魚の稚魚育成方法
*稚魚の餌やりタイミング
金魚の卵がふ化するまでの期間は、水温によって大きく変動します。
春先のような比較的低い水温では5日から7日程度を要しますが、水温が高い夏場ではわずか2日程度でふ化します。
ふ化直後の稚魚は体長が5ミリメートルほどと非常に小さく、まだ上手に泳ぐことができず、水中を漂うような状態です。
稚魚の腹部には、ふ化後2〜3日間は栄養源となる卵黄嚢(らんおうのう)が接続しており、この期間は外部からの餌を与える必要はありません。
稚魚が自ら餌を求めて活発に泳ぎ回るようになった兆候が見られたら、それが餌やりの開始タイミングとなります。
*稚魚に適した餌
稚魚が餌を必要とするようになると、その活動性は著しく増し、活発に泳ぎ始めます。
稚魚の餌として最も一般的に利用されるのは、ブラインシュリンプという活きた餌です。
ペットショップなどで容易に入手できるブラインシュリンプの卵を、水温約28度程度の塩水中でふ化させます。
専用のふ化器を使用すれば、約1日で効率的にふ化させることが可能です。
ブラインシュリンプはエビの幼生であり、ふ化直後の大きさは0.4〜0.5ミリメートルほどと非常に微細です。
その他にも、池や沼などの自然環境に生息するタマミジンコも、稚魚の餌として優れた栄養価を持っています。
市販されている稚魚専用の粉末状のパウダーフードも、手軽に利用できる選択肢の一つです。
いずれの種類の餌を与える場合も、与えすぎは稚魚の健康を害する可能性があるため、量には十分な注意が必要です。
*稚魚の水換え頻度
金魚の卵がふ化してから約3週間が経過する頃には、稚魚の食欲も旺盛になり、市販されている稚魚用の人工飼料への切り替えも可能になります。
稚魚の育成において、水質の維持は極めて重要な要素です。
稚魚は成長が早く、水質は急速に悪化していく傾向があるため、ふ化してから10日ほどを目安に最初の水換えを実施することが推奨されます。
その後は、週に1回の頻度で定期的な水換えを継続することが一般的です。
ふ化後1ヶ月を過ぎるまでは、残念ながら死んでしまう稚魚も一定数存在するため、常に慎重な観察と細やかな世話が求められます。
1ヶ月を過ぎると、稚魚は徐々に成魚に近い形態へと成長していきます。
□まとめ
金魚が産卵した際には、親魚による卵の捕食を防ぐために、速やかに親魚と卵を隔離することが極めて大切です。
有精卵と無精卵を正確に見分けることで、ふ化の可能性のある卵のみを残し、水質の悪化を未然に防ぎます。
稚魚が誕生したら、ふ化後2〜3日間は餌が不要ですが、稚魚が自ら泳ぎ始めたら、ブラインシュリンプなどの稚魚に適した餌を少量ずつ与え始めます。
水質管理は稚魚育成の成否を分ける鍵となるため、定期的な水換えを怠らずに行うことが重要です。