犬がガリガリする理由と対策!愛犬の気持ちを理解しよう

犬がガリガリと何かを掘るような仕草を見せるとき、飼い主としてはその行動の理由を知りたいものです。
単なる遊びなのか、それとも何か別のサインなのか、その行動の背景には様々な要因が隠されている可能性があります。
そこで今回は、犬がガリガリする行動の根本的な原因を探り、それぞれの状況に応じた適切な解決策について解説します。

◻︎犬がガリガリする理由

犬がガリガリと掘るような仕草を見せるのには、いくつかの理由が考えられます。
その行動を理解することで、愛犬の気持ちに寄り添った対応ができるようになるでしょう。

*本能や遊びからくる行動

犬は、その祖先であるオオカミの時代から、巣穴を掘って生活したり、大切なものを隠したりする習性を持っていました。
この本能が現代の犬にも受け継がれており、特に寝る前などに、自分の寝床を快適な形に整えようとして掘る行動が見られます。
これは、寝床の感触を調整したり、周囲の温度を快適に保とうとしたりする本能的な行動と言えます。
また、おもちゃやおやつを隠したいという心理から掘ることもあります。
これは、将来のために食料や大切なものを確保しておこうとする、野生時代の名残とも考えられます。
こうした行動は、犬が楽しんでいる、あるいは本能を満たしているサインであり、多くの場合、特に問題視する必要はありません。
むしろ、犬らしい行動として温かく見守ってあげることが大切です。

*ストレスや退屈によるサイン

穴掘りの行動は、犬がストレスや退屈を感じているサインである場合もあります。
異常に長い時間掘り続けたり、爪や家具がボロボロになるほど激しく掘ったりする場合は、何らかの欲求不満や不安を抱えている可能性があります。
運動不足や、飼い主とのコミュニケーション不足などが原因で、ストレスを発散するために掘る行動に出ることがあります。
例えば、留守番時間が長かったり、十分な散歩や遊びの時間が確保できなかったりすると、犬はエネルギーを持て余し、そのはけ口として掘る行動に及ぶことがあります。
また、環境の変化(引っ越し、新しい家族が増えたなど)や、騒音などの外部からの刺激がストレスの原因となることもあります。
このような場合は、犬が抱えるストレスの原因を特定し、それを取り除くための対策が必要となります。

*体調不良や病気の可能性

稀ではありますが、穴掘りの行動が体調不良や病気のサインである可能性も否定できません。
一点を見つめて一心不乱に掘り続ける、話しかけてもやめないほど長時間掘り続ける、老犬が急に穴掘りを始めるようになった、といった場合は、常同障害や不安障害、認知症などの病気の可能性も考えられます。
常同障害とは、特定の行動を繰り返す精神疾患の一つであり、穴掘りもその症状として現れることがあります。
不安障害は、過度な不安から特定の行動に固執する状態です。
また、高齢犬に見られる認知症(犬のアルツハイマー病とも呼ばれます)の症状として、徘徊や無意味な行動が見られ、その一環として穴掘りをすることがあります。
このような場合は、念のため動物病院で獣医師に相談することが重要です。
病気が原因である場合、早期発見・早期治療が愛犬の健康とQOL(生活の質)の向上に繋がります。

◻︎ガリガリ行動への対策

犬のガリガリする行動に対しては、その原因に応じた適切な対策を講じることが大切です。

*環境の見直しと改善

まず、犬が安心して過ごせる生活環境が整っているかを見直しましょう。
寝床は快適か、保温・保冷は適切か、休息できる静かな場所はあるかなどを確認し、必要であれば改善します。
犬がリラックスできる、自分だけの安全な空間を提供することが重要です。
ストレスの原因となりうる要因を取り除くことで、掘る行動が軽減されることがあります。
例えば、騒がしい場所から寝床を移動させる、来客が多い場合は犬が隠れられる場所を作る、といった工夫が考えられます。
また、犬が嫌がる素材のカバーをソファにかける、といった方法も有効な場合があります。
これは、ソファを傷つけられたくないという飼い主の意向と、犬の掘る欲求をある程度満たすための代替策となります。

*適切な運動と刺激の提供

運動不足や退屈が原因で掘る行動が見られる場合は、遊びや散歩の時間を増やして、エネルギーを発散させてあげることが効果的です。
犬種や年齢、健康状態によって必要な運動量は異なりますが、一般的に、毎日の散歩は欠かせません。
さらに、ドッグランで思い切り走らせたり、飼い主とのインタラクティブな遊び(ボール投げ、引っ張りっこなど)を取り入れたりすることで、犬の満足度を高めることができます。
狩猟本能を刺激するようなおもちゃで遊ばせたり、散歩中に他の犬の匂いをゆっくり嗅がせたりするなど、犬の本能を満たすような工夫も良いでしょう。
例えば、ノーズワークマットを使ったり、隠したおやつを探させるゲームをしたりすることで、犬の嗅覚や探求心を刺激し、精神的な満足感を与えることができます。
これにより、室内で家具を掘る必要がなくなると考えられます。

*獣医師への相談

もし、穴掘りの行動が頻繁であったり、激しかったりする場合、あるいは他の異常行動(食欲不振、元気がない、過剰なグルーミング、無駄吠えなど)も伴う場合は、病気の可能性も考慮し、早めに動物病院を受診しましょう。
獣医師は、愛犬の健康状態を正確に診断し、適切な治療法やアドバイスを提供してくれます。
問診や触診、必要に応じて血液検査や画像診断などを行い、病気の有無や原因を特定します。
病気が原因であると診断された場合は、投薬や行動療法、生活環境の改善指導など、個々の状態に合わせた治療計画が立てられます。
また、行動学の専門家である獣医師やドッグトレーナーに相談することも有効です。
専門家は、犬の行動の背景にある心理や原因を深く理解し、飼い主に対して具体的なトレーニング方法や接し方を指導してくれます。

□まとめ

犬がガリガリと掘るような仕草を見せる行動には、本能や遊び、ストレスや退屈、そして体調不良や病気など、様々な理由が考えられます。
愛犬の穴掘りをやめさせたいと考えるなら、まずはその行動の根本的な原因を理解することが重要です。
遊びや本能によるものであれば、掘っても良い場所を用意したり、他の遊びで気をそらしたりすることが効果的です。
例えば、庭に砂場を作ってあげたり、室内で使える掘るおもちゃを与えたりすることで、本能的な欲求を満たしつつ、家具などを傷つけることを防ぐことができます。
ストレスや退屈が原因の場合は、生活環境を見直し、運動やコミュニケーションの時間を増やすことが推奨されます。
犬の散歩時間を延長したり、一緒に遊ぶ時間を増やしたり、新しい知育トイを取り入れたりすることで、犬の心身の健康を保ち、問題行動の軽減に繋がります。
もし、穴掘り以外にも気になる症状が見られる場合は、病気の可能性も考えられるため、迷わず獣医師に相談しましょう。
愛犬とのより良い暮らしのために、原因に応じた適切な対策を講じることが何よりも大切です。