犬のプラスチック誤飲!症状や対処法予防策のすべて

犬がプラスチックを誤飲してしまった時、飼い主さんは動揺してしまうことでしょう。
しかし、愛犬の健やかな命を守るためには、冷静さを保ち、迅速かつ的確な対応をすることが何よりも大切です。
今回の記事では、万が一、愛犬がプラスチックを誤飲してしまった場合に取るべき具体的な対処法、現れる可能性のある症状、そして、そもそも誤飲事故を防ぐための予防策について、詳しく解説していきます。
いざという時に慌てず、愛犬のために最善の行動が取れるよう、ぜひ参考にしてください。

□犬がプラスチック誤飲時の対処法

愛犬が誤ってプラスチック製品を飲み込んでしまったと気づいた場合、飼い主さんがまず取るべき最優先事項は、自己判断で無理な処置を試みることを避け、速やかに獣医師に連絡し、専門的なアドバイスを仰ぐことです。
獣医師は、愛犬の現在の健康状態、誤飲したプラスチックの種類、その量、そして誤飲してから経過した時間などを総合的に評価し、愛犬にとって最も安全で効果的な処置方法を判断・指示します。

*獣医師への連絡方法

動物病院に連絡をする際には、愛犬を迅速かつ正確に診断・治療するために、以下の情報をできる限り具体的に、そして正確に伝えることが非常に重要です。

  • 愛犬の情報: まず、愛犬の年齢、犬種、現在の体重、そして過去に患ったことのある病気や現在治療中の病気の有無などを伝えます。
    これらの情報は、処置の選択肢や投薬量などを決定する上で不可欠です。
  • 誤飲後の経過時間: 誤飲が発生した正確な日時、あるいはおおよその時間を把握しておくことは、処置の緊急度や方法を判断する上で極めて重要です。
    「いつ」「何時ごろ」誤飲したのかをできる限り正確に伝えましょう。
  • 誤飲したプラスチック: 誤飲したプラスチックがどのようなものであるかを具体的に伝えます。
    例えば、おもちゃの一部なのか、食品の容器なのか、ペットボトルのキャップなのか、といった種類を特定します。
    また、そのサイズ、形状、そしておおよその量を把握しておきましょう。
    可能であれば、誤飲したプラスチックの破片や、もし残っていればその写真などをスマートフォンで撮影しておくと、獣医師の診断の大きな助けとなります。
  • 現在の症状: 愛犬が現在示している症状を具体的に伝えます。
    例えば、嘔吐を繰り返しているのか、下痢をしているのか、ぐったりして元気がないのか、よだれが異常に多いのか、といった観察した事実を詳細に伝えましょう。

もし、夜間や休日でかかりつけの動物病院に連絡がつかない状況になった場合は、地域の夜間救急動物病院をインターネットなどで検索したり、24時間対応しているオンライン獣医師相談サービスなどを利用することも、迅速な対応のために有効な手段となり得ます。

*自宅での緊急処置

誤飲が疑われる場合、飼い主さんが自宅で絶対にしてはならないことがあります。
それは、自己流で無理に吐かせようと試みることです。
飼い主さんの手や、スプーンなどの異物を使って無理に吐かせようとすると、愛犬の喉や食道を傷つけてしまう危険性が非常に高いです。
さらに、誤飲したプラスチックをさらに食道や胃の奥へ押し込んでしまい、状況を悪化させる可能性もあります。
また、オキシドールなどを用いて自宅で催吐処置を行うことも、かえって愛犬の体調を著しく悪化させる可能性があるため、絶対に避けるべき行為です。
人間の薬を自己判断で与えることも、絶対にやめましょう。
愛犬の安全を第一に考え、確実な処置を行うためには、必ず獣医師の指示に従ってください。

*プラスチック誤飲の犬の症状

プラスチックを誤飲した場合、必ずしもすぐに目に見える症状が現れるとは限りません。
誤飲したプラスチックのサイズが小さく、消化管を通過して最終的に便と一緒に体外へ排出されるケースも少なくありません。
しかし、症状が現れる場合、そのサインを見逃さないことが、愛犬の命を守る上で非常に重要です。

◻︎観察すべきサイン

誤飲から数時間後、あるいは数日経過してから、以下のような症状が現れることがあります。
これらのサインを見逃さないように、日頃から愛犬の様子を注意深く観察することが大切です。

  • 嘔吐、あるいは吐き気がある(えずく仕草など)
  • よだれの量が増える
  • 食欲が低下する、あるいは全く食べなくなる
  • 元気がなくなり、ぐったりしている
  • お腹を痛そうにする、体を丸めてうずくまる
  • 下痢、あるいは便秘(便が細くなる、排便困難など)
  • 頻繁に咳き込む、あるいはえずくような仕草をする

これらの症状が一つでも見られる場合は、誤飲したプラスチックが消化管のどこかに詰まっている、あるいは消化管の粘膜を傷つけている可能性が考えられます。
速やかに動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。

◻︎重篤な症状の特徴

特に注意が必要な、緊急性の高い症状も存在します。
これらの症状は、愛犬の命に直接関わる危険な状態である可能性が高いため、一刻も早い対応が必要です。

  • 舌の色が真っ青になる(チアノーゼ): これは、気道がプラスチックによって完全に塞がれ、体内に十分な酸素が供給されていない状態を示しています。
    呼吸困難に陥っている可能性が極めて高いです。
  • 呼吸が荒い、あるいはヒューヒュー、ゼーゼーといった異常な呼吸音がする: これも気道閉塞の強力な兆候であり、早急な処置が求められます。
  • 吐血、あるいは嘔吐物から便のような臭いがする: 消化管の重篤な損傷や、腸閉塞などの深刻な状態が考えられます。
  • 急にぐったりして動かなくなる、意識を失う: これは生命に関わる極めて危険な状態であり、緊急搬送が必要です。

これらの重篤な症状が見られた場合は、迷わず、一刻も早く動物病院に連れて行く必要があります。
動物病院へ向かう移動中であっても、もし愛犬の口の中に誤飲したプラスチックの一部が見える場合は、慎重に、そして安全にそれを取り除けるか確認してください。
ただし、無理に引き抜こうとすると、さらに奥へ押し込んでしまう危険性もあるため、注意が必要です。

□犬のプラスチック誤飲を防ぐには

愛犬の誤飲事故を未然に防ぐためには、飼い主さんの日頃からの環境整備と、常に周囲に注意を払う姿勢が不可欠です。

*環境整備のポイント

家庭内においては、犬が誤飲しやすいプラスチック製品を、犬の届く場所や手の届く場所に置かないことが最も重要です。

  • ゴミ箱: 食べ物の匂いがついたゴミは、犬にとって非常に魅力的なものです。
    ゴミ箱は、必ず蓋付きでロック機能のあるものを使用するか、犬が物理的にアクセスできない部屋や場所に置くようにしましょう。
  • 収納: 子供のおもちゃ、文房具(消しゴム、クリップなど)、衣類のボタンや装飾品などは、犬の興味を引かないよう、犬の届かない引き出しや戸棚の中にしっかりと保管します。
  • 床の確認: 定期的に、床に小さなプラスチック片(ボタン、クリップ、消しゴムの破片、おもちゃの部品など)が落ちていないか、掃除の際に注意深く確認する習慣をつけましょう。

*日常の注意点

日頃の生活習慣においても、誤飲事故を防ぐための注意点を意識することが大切です。

  • 留守番・就寝時: 飼い主さんの目の届かない場所での誤飲事故を防ぐためには、留守番や就寝時には、安全が確保されたサークルやゲージの中で過ごさせることを検討します。
    その際、ゲージ内には、誤飲の危険性がない、安全なおもちゃと新鮮な水だけを置くようにしましょう。
  • 散歩中: 散歩中に地面に落ちているものを拾い食いしないように、リードは常に短めに持ち、常に犬の口元の動きに注意を払います。
    もし、愛犬に拾い食いの癖がある場合は、「待て」や「離せ」といった基本的なコマンドのトレーニングを、根気強く、そして強化していくことが効果的です。
  • おもちゃ選び: 犬に与えるおもちゃは、愛犬のサイズに合っており、噛んでも簡単に壊れない、そして小さくならない素材でできているものを選びます。
    遊んでいる最中におもちゃが破損した場合は、すぐに片づけ、破片などを誤飲しないように注意しましょう。

万が一、愛犬がプラスチック製品を口にしているのを発見してしまった場合でも、慌てて力ずくで取り上げようとすると、かえって驚いて飲み込んでしまうことがあります。
そのような場合は、落ち着いて、別のおもちゃやおやつなどで愛犬の注意をそらし、安全に口から離すように優しく促すことが肝心です。

□まとめ

犬がプラスチック製品を誤飲してしまった場合、最も重要なのは、飼い主さんが冷静さを保ち、まずは動物病院に連絡して、獣医師の専門的な指示を仰ぐことです。
誤飲したプラスチックの種類や量、誤飲からの経過時間、そして愛犬が示している症状などを正確に獣医師に伝えることで、愛犬にとって最善かつ適切な処置につながります。
さらに、重篤な症状が現れる前に、日頃から誤飲しやすい物を片づける、散歩中に注意を怠らないといった予防策を講じることが、何よりも愛犬の命を守ることに繋がるのです。