猫を飼っていると、ふとした瞬間に「うちの子、ご飯を食べていない…?」と心配になることがあります。
普段は食欲旺盛な猫でも、急に食欲がなくなると、病気ではないかと不安になりますよね。
猫が食べない状態が続くと、飼い主としてはいてもたってもいられなくなるものです。
そこで今回は、猫がご飯を食べない時に、どのくらい様子を見て大丈夫なのか、そして食欲不振の原因として考えられることや、それぞれの対処法について解説します。
愛猫の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。
◻︎猫が食べない日数目安
猫がご飯を食べない場合、様子を見て大丈夫な期間は、その猫の年齢によって異なります。
子猫、成猫、老猫それぞれで、健康状態に影響が出るまでの時間が変わってくるため、注意が必要です。
*子猫の場合
子猫は体がまだ十分に発達しておらず、体力も少ないため、成猫に比べて食欲不振の影響を受けやすいです。
特に生後間もない子猫や、まだ母乳や離乳食に頼っている時期の子猫は、わずかな体調の変化でも急激に状態が悪化する可能性があります。
1〜2ヶ月齢の子猫であれば、8時間以上食事を摂らない場合は注意が必要です。
3〜4ヶ月齢になれば、もう少し長い時間様子を見ることもできますが、それでも16時間以内を目安とし、それ以上食べない場合は早めに動物病院に相談することをおすすめします。
*成猫の場合
健康な成猫であれば、多少の食べムラは珍しくありません。
1食分のご飯を食べなかったり、残したりしても、1日を通して十分な量を摂取できていれば、過度に心配する必要はないでしょう。
しかし、24時間(1日)以上、全く食事を摂らない状態が続く場合は、何らかの原因で食欲が低下していると考えられます。
特に、急に全く食べなくなった場合は、病気の可能性も考慮し、動物病院での診察を検討しましょう。
*老猫の場合
老猫は、若い頃に比べて基礎代謝が低下し、消化機能も衰えてくるため、食欲が減退することがあります。
しかし、老猫であっても、食事を全く摂らない状態が1日以上続いた場合は注意が必要です。
特に、肥満気味の老猫の場合、絶食状態が36時間(1日半)を超えると、肝臓に脂肪が蓄積する「脂肪肝(肝リピドーシス)」を発症するリスクが高まります。
脂肪肝は命に関わる病気であり、急激な衰弱や黄疸などの症状が現れることもあります。
そのため、老猫が1日以上食事を摂らない場合は、早めに動物病院を受診することが重要です。
◻︎猫の食欲不振原因
猫の食欲不振は、様々な要因が考えられます。
病気やストレスといった身体的なものから、フードや環境といった日常的なものまで、多岐にわたります。
*病気やストレス
猫がご飯を食べなくなる最も懸念される原因の一つが、病気です。
口内炎や歯周病、消化器系の疾患、腎臓病、感染症など、様々な病気が食欲不振を引き起こす可能性があります。
口内炎や歯周病が原因の場合、口を開けるのを痛がったり、よだれが増えたり、口臭が強くなったりする症状が見られます。
また、消化器系の不調や、尿路閉塞などの重篤な病気では、嘔吐や下痢、排尿がないといった症状を伴うことがあります。
病気以外では、環境の変化や騒音、他のペットとの関係など、ストレスが原因で食欲が低下することもあります。
*フードや環境
病気やストレス以外にも、フードそのものや、食事を与える環境が原因で食欲が落ちることもあります。
例えば、フードの「食べ飽き」もよくある原因の一つです。
同じフードばかりを与えていると、猫は飽きてしまうことがあります。
また、フードの嗜好性が低い場合や、フードの匂いが猫にとって魅力的でない場合も、食が進まなくなることがあります。
さらに、食器の形状や素材、設置場所なども猫の食欲に影響を与えることがあります。
ヒゲが食器の縁に触れることを嫌がる猫もおり、「ヒゲ疲れ」と呼ばれるストレスを感じて、食事を避けるようになるケースもあります。
食器の高さが合っていなかったり、食事場所が落ち着かなかったりすることも、食欲不振の原因となり得ます。
◻︎猫の食欲不振対処法
猫の食欲不振の原因が特定できたら、その原因に合わせた適切な対処を行いましょう。
*原因別改善策
病気が原因と考えられる場合は、まず動物病院を受診し、獣医師の指示に従うことが最優先です。
病気以外の原因であれば、以下のような方法を試してみましょう。
- フードの工夫:
- フードを人肌程度に温めて、香りを立たせる。
- ウェットフードや、香りの強いフードに切り替えてみる。
- 猫が好む食材(鶏肉や魚など)を少量トッピングする。
- ドライフードをぬるま湯でふやかすなど、食べやすい形状にする。
- 環境の整備:
- ヒゲが当たらない、浅くて広い形状の食器や、高さのある食器に変更する。
- 静かで落ち着ける場所に食事場所を移動する。
- 食器を常に清潔に保つ。
*病院受診の目安
猫が全く食事を摂らない状態が24時間以上続いた場合、または上記のような対策を試しても改善が見られない場合は、動物病院を受診しましょう。
特に、食欲不振に加えて、以下のような症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があります。
- 激しい嘔吐や下痢を繰り返す
- ぐったりして元気がない
- 水を全く飲まない、または排尿がない
- 呼吸がおかしい、口呼吸をしている
- 歯茎が白っぽい、または黄色い
これらの症状が見られる場合は、迷わずすぐに動物病院に連絡し、指示を仰いでください。
持病のある猫や高齢猫の場合は、特に注意が必要です。
□まとめ
猫がご飯を食べないという状況は、飼い主にとって非常に心配なものです。
しかし、年齢や状態によって様子を見られる時間には限りがあります。
子猫や老猫、そして持病のある猫の場合は、特に注意が必要です。
食欲不振の原因は、病気やストレス、フードや環境など様々です。
原因を特定し、フードの温めやトッピング、食器の変更、食事場所の整備といった適切な対処を行うことが大切です。
それでも改善が見られない場合や、嘔吐・下痢などの他の症状が見られる場合は、速やかに動物病院を受診しましょう。
愛猫の健康を第一に考え、日頃から猫の様子をよく観察することが、早期発見・早期対応につながります。